「Badla」

「Badla」2019年ヒンディ

「Badla」2019年ヒンディ

監督：スジョーイ・ゴーシュ
出演：タープシー・パンヌー/アミターブ・バッチャン/アムリター・シン
IMDb：https://www.imdb.com/title/tt8130968/
Wiki：https://en.wikipedia.org/wiki/Badla_(2019_film)

あらすじ

　成功した女性実業家のナイナ(タープシー・パンヌー）は不倫相手アルジュンの殺害容疑で逮捕される。現在保釈中だが状況は不利で、裁判を目前にして顧問弁護士が呼び寄せた負け無しの記録を持つ弁護士グプター（アミターブ・バッチャン）がナイナを訪ねてくる。明日に迫った裁判を前に、残された時間は僅か。雪に閉ざされたホテルの密室で遺体と共に発見されたナイナにとって、別れで揉めた不倫相手を殺したという状況を覆すのは困難だと思われた。グプターは必ず勝つと言い切り、そのために事件当日より遡った過去から全て話せと迫る。
　ナイナはパリに出張していると夫にウソをつきアルジュンと田舎のコテージで会っていた。しかし人気無い山奥で飛び出してきた鹿を避けたために運転を誤り、対向車に乗った若い男を死なせてしまう。不倫がばれてしまえばお互いの人生が目茶目茶になると考えた2人は事故を隠すために奔走する。
　全てうまくいったと思っていたところに脅迫状が届き、犯人に呼び出されたホテルで事件は起きたのだった。2人の犯罪を知っているのは誰なのか？アルジュンを殺害したのは誰なのか？

感　想

　非常に良くできたサスペンスでした！物語はナイナの部屋で、ナイナが語る回想とグプターとのやり取りだけで進んでいきます。サスペンスの手法として、登場人物それぞれが語る物語が真実とは限らない、というのは良くありますよね。しかし数少ない登場人物ながらも、まるで立体を違う方向から眺めたら別のものに見える、とでも言うように複雑に形作られた1つの事件が非常に上手く出来ていました。

　話が進むにつれてキャラクターの別の人格が見えてくる、そしてそれが真実とは限らない、という、先が読めるようで読めないスリリングな展開。あらゆるものが伏線で、原因で、結果という、穴の無いストーリー。雪が降る寒いイギリスが舞台になっていて、まったくインドは出てきません。寒々しいグレイッシュな風景と、このクールなサスペンスがぴったりでしたね。

　これも色々感想を書くとネタバレになってしまうというタイプのお話ですねえ…。とにかくアミターブ･バッチャンの迫力と、それに引けをとらないタープシーの火花散る演技対決でもあり、文句無しに面白かったです！超おすすめ！
「フライングジャット」や「2states」で元気なママ役定番のアムリタ・シンの存在感も良い～！

　というか監督のWiki見てみたら、「女神は二度微笑む」の監督さんじゃーん！そりゃー面白いわけだ…そして「らしい」映画だわ。

　女性と弁護士という役柄で「PINK」で組んでいる2人ですが、同じ設定でありながら、ぜんぜん違うお話です。この映画、スペイン映画の「The Invisible Guest」のリメイクだと教えてもらいました。あまりに「Badla」が面白かったので、速攻こっちも観てみたんですが、これまた面白かった。リメイクはほとんど中身を変えていないのですが、男女だけが逆。イタリア版は女性弁護士なんですね。これがねえ～…やはり性別による先入観というのが人間にはあるので、かなり登場人物の印象が変わるんですね。そこが非常にまた面白かったです。両方見比べて欲しいです。下にこちらの原作のリンクも貼っておきます～。